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「日本人なのに、なんでフルートなの?」
ヨーロッパへ留学した友人が、フランス人の先生から投げかけられた言葉だそうです。
この質問、ちょっと気になりませんか?
全く疑問を持っていない方、ちょっと気になっている方、
すごく気になっている方…
いらっしゃるんじゃないでしょうか。
誰にとっても、外国の音楽を学ぶとき、自分のルーツに対峙する場面があると思います。
現代の私たち日本人にとって、西洋音楽は一番といってもいいほど、馴染みのあるもので、
邦楽の方がむしろ遠い存在ではないでしょうか。
日本にもフルートと同じ、横笛があります。
篠竹で作られていて「篠笛」と呼ばれています。
歌舞伎の音楽のなかで活躍しており、身近なところでは、祭り囃子で聴くことができます。
ピーヒャララーー・・・・
遠音のさす、どこか懐かしいような音色を聴いたことがある方も多いのではないでしょうか。
そんな竹笛の世界、日本のものなのに、あんまりよく知りませんよね。
そこで、このたびのフルート&篠笛合同セミナーでは、フルーティストのみなさんにはフルートを、篠笛のみなさんには篠笛を手に、一堂に会し、東西の笛の表現方法の違いに触れて、
ご自分の表現の幅をぐいっと一段階拡げてみようではないか、と企画されました。
どちらが正しい、ということではありません。
それぞれこんなに表現方法が違うの?!
それ、どうやってるの?
ちょっと真似てみたいなぁ。
表現力を高めていくときに、即効力となるとは、知見を拡げることです。
でも、フルート持ったことない、
篠笛吹いたことないな・・・
そうですよね、でも、大丈夫です。
フルーティストのみなさんは楽器はフルートのままでOK、
篠笛吹きのみなさんは篠笛のままでOK。
楽器は違いますが、それぞれの表現を取り入れることは十分にできるのです。
篠笛はわたし、朱鷺たたらが講師を務めます。
そしてフルートは、
福永吉宏先生と、先生の一番弟子である坂本楽先生です。
福永先生はわたしに、はじめてフルートを手ほどきしてくださった恩師です。
3名の講師でみなさんをこれ以上ないというほど、サポートいたします。
今回のセミナーでは、青森の民俗芸能「荒馬」アレンジ版を課題にします。
日本の民俗芸能のなかで響いてきたペンタトニック(5音音階)と、
そこにさまざまに付けられる装飾音の世界。
装飾音こそ、際立って日本の竹笛らしさを引き立てます。
ところが、古典の世界では、こうした装飾音は門外不出とされ、
稽古に通っても、内弟子以外は師匠から教えてもらえません。
内弟子も手とり足とり教えてもらえるわけではなく、見て盗め、とされています。
うわ、大変そう・・・。
大丈夫、ご安心ください。
見て盗め、とはいいません。
そんなの無理です(笑)
装飾音もちゃんと楽譜に記譜しました。
記譜通りに奏したところで、なかなかそれっぽくならないところが面白いところですが、
じゃあ、どうしたらいいの、というあたりを、ぜひセミナーで一緒に取り組んでみましょう。
ひとつでも、持って帰っていただければ、と思います。
お互いの違いを知るために、フルートからこの曲にアプローチしたらどういう表現になるのか、
そうしたフルートからのアプローチも、篠笛のみなさんにトライしていただきたいと思います。
楽器はそれぞれ、お持ちのフルートの方はフルート、篠笛の方は篠笛をお使いいただきます。
実は、伝承音楽の世界には「奏法」がありません。
教室で学べるのは「型」です。
そのジャンルの笛がどういう場面で、どういうことをするのか、といったことを教わります。
けれども、
「音色を練りたい」とか「ピッチのコントロール」とか、
「指の訓練」とか「ビブラート」などなど、そういった具体的で論理的な、楽器の操作方である奏法メソードはありません。
ないんだけれども、どうしても必要なのは、習得の土台となる「奏法」ではないかな、とわたしは思います。
だからこそ、このチャンスに、プロのフルーティストから、
奏法メソッドを学んでみませんか?
練習の方法を学ぶのです。
一度学んだ練習方法は失うことはありません。
(まったく練習しないで、忘れてしまったら・・・?そのときはまたセミナーにいらしてください!)
練習方法をお持ち帰りして、日々の稽古でぜひ実践してください。
練習方法は、その目的と論理的な根拠、正しいやり方、これをしっかりと知ることがまず大切です。
今回のセミナーでは、
「音色を練る方法」
ここに焦点を当てたいと思います。
フルーティストのみなさんもきっと興味がおありではないでしょうか。
ご自分の音色、もっと豊かに響けばいいなあ、と思ってらっしゃいませんか?
篠笛のみなさんにとっては、はじめてのメソッドになるかもしれません。
これは財産となりうるものです。
素晴らしい音楽家であり、豊富な指導経年を持つフルーティストと、それを篠笛に翻訳できる篠笛奏者が講師陣に揃いました。
わたしにとっては、恩師とともに、登壇できますことも光栄ですし、
先生からこの機会に再び学べることがとても嬉しいです。
講師陣も、みなさまとともに、研鑽の場として、一緒に学びを深め、
音楽表現の高みを目指したいと願っています。
会場では、フルートと篠笛を体験用にご用意しています。
なかなか普段手にとることのない、それぞれの楽器をぜひ体験してください。
セミナーは午前からはじまり、夕方までたっぷりの時間をとりました。
お昼の時間はオリエンテーションもかねています。
情報交換、交流の場となれば幸いです。
そして。
今回のセミナー会場がまた、素敵なんです!
京都に中心地に近い堀川五条にある「遠藤美術館」。
遠藤剛熈さんの作品に囲まれた静謐な空間、
美術館そのものが作品のような、日常と切り離されたアート空間です。
www.gohki.com | 遠藤剛熈美術館
響きもよく、ゆったりとくつろぎながらも、
集中できる環境です。
また、京都の中心街にもほど近く、
セミナー終了後はどうぞ夜の京都を各々でお楽しみいただけると思います。
当日の課題曲の楽譜はお申込者に事前にお送りします。
篠笛の方には数字譜記譜のものをお送りします。また、音源もご用意しますので、
どうぞ安心して、お気軽にご参加ください。
一緒に発見、実践、そして研鑽しましょう!
みなさまのご参加をお待ちしています。
Time table
■午前の部(11:00~12:30)
フルート奏法
いい音を響かせるためのメソード
・アンブシュア、アパチュアについて
・なにに注意しなければならないのか。
・具体的な練習法の提示
■午後の部(14:00~17:00)
荒馬(青森民俗芸能)を題材に
日本特有のペンタトニックの響き
&
かっこいい装飾音の世界
・日本的な音階 ペンタトニックについて
・ペンタトニックで自在に吹いてみよう
・かっこいい日本的な装飾音の数々
■ミニコンサート(18:00終了)
講師陣によるミニコンサート
日時:2023年7月22日(土)
受講料:12000円(人数限定)
会場: 遠藤剛熈美術館 〒600-8353 京都市下京区猪熊通高辻下ル
お申込み・お問い合わせ 東西横笛セミナー実行委員会(京都・バッハ・ゾリステン)
kbs@inter-art.gr.jp 075-341-5741 http://kbs.inter-art.gr.jp
講習曲 荒馬(Arama):篠笛講師 朱鷺たたら
Lecturer introduction
福永 吉宏
(プロフィール)
1979年、大阪芸術大学演奏学科卒業。フルートを故山田忠男、小久見豊子、荒井博光、西田直孝の諸氏に師事。リコーダーを西岡信雄氏に師事。1980年ドイツ、カールスルーエ音楽大学に入学。レナーテ・グライス・アルミン氏に師事。1981年京都・バッハ・ゾリステンを結成し、主宰する。バッハの器楽曲を中心に活動を行う。京都の洛陽教会(京都市上京区)を本拠地として大バッハの残した偉大な財産である200曲に及ぶ教会カンタータを20年の歳月をかけて演奏する《バッハ・カンタータ200曲全曲連続コンサート》を2005年11月に完結、さらに2014年には受難曲、ミサ曲、モテット、世俗カンタータを含む〈バッハ主要声楽曲〉を全曲演奏し完遂した。これはヨーロッパに於いても稀少なことであり、日本では初めての試みである。 1991年、創立10周年記念企画として、元ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団コンサートマスターであるゲルハルト・ボッセ氏と共演。またカンタータシリーズ第14回(1991年)から第29回まで6年間にわたり、元ハンブルク音楽大学教授でバリトンのクラウス・オッカー氏が賛助出演。1994年ベルリンのコングレスハレ、ライプツィヒの聖トーマス教会において、1996年、2000年にカールスル-エやフライブルクなど独日協会主催で行ったドイツ演奏旅行で好評を得、当地のテレビ、新聞に絶賛された。2018年カールスルーエ音楽大学教授、レナーテ•グライス アルミン氏を迎えて演奏会を行う。 1988年、第1回フルートリサイタルを京都府立文化芸術会館で開催し好評を博す。1999年いずみホールで行ったフルートリサイタル(バッハ・フルートソナタ全曲。チェンバロ:小林道夫)において、大阪文化祭賞奨励賞を受賞。バンベルク交響楽団首席フルート奏者、グンター・ポール氏や、ベルリン芸術大学のフルートの教授である、ロスビタ・シュテーゲ氏を迎えて演奏会を行う。2005年ワオンレコードよりCD『J.S.バッハ フル-トソナタ全集〈全曲〉』(チェンバロ:小林道夫)を、2011年『G.F.ヘンデル フルートソナタ集』(チェンバロ:上尾直毅)2022年、「フルート名曲集-名器ヘルムート・ハンミッヒの華麗なる響き」(ピアノ:長谷川美沙)をリリース。日本フルート協会代議員。大阪芸術大学客員教授。神戸女学院大学講師。京都・バッハ・ゾリステン主宰、指揮。第29回藤堂音楽賞を受賞
Yoshihiro Fukunaga
講師より一言
フルートと篠笛の共通点は横笛ですね。
そして歌口と言われる穴が頭部管に空いています。
リードやマウスピースが無い為に、
同じ楽器でも、吹く人によって、違う音色がでるというのは、不思議な事です。
またこの2つの楽器の共通した素晴らしい魅力です。
ロボットが人間の様々な分野で、優れた脳裡を発揮していますが、
我々のフルート、篠笛には人間と心がないと良い音色をだす事が、できない事を、
今回のセミナーを通じてわかっていただければと思っています。
朱鷺 たたら
(プロフィール)
どこか懐かしく、日本人の魂に迫る竹笛の調べを、現代の人々の心にどう響かすかをテーマに活動。日本の伝統的な古典奏法と西洋音楽の学びで培ったテクニックを併せ持ち、古典に独奏曲を持たない篠笛の可能性を追求するべく、作曲、演奏活動を行う。オリジナル作品集CDのほか、参加CD多数。みずからの門下・朱鷺会主宰。一般社団法人 日本篠笛協会理事。岡山県新見公立大学非常勤講師。
Tatara Toki
Raku Sakamoto
坂本 楽
(プロフィール)
大阪府生まれ、京都大学文学部卒業。8歳よりフルートを始める。
学生時代、びわ湖国際フルートコンクール・アドヴァンス部門優勝など受賞歴を重ねる。
現在は多次元ロック・融解建築をはじめ、ピアノレスのフルート二重奏・あんぎゃ、フルート四重奏・RHMS、妄想ヨーロッパ楽団・ピエモンテルノを中心に演奏活動を行っている。
2022年、融解建築のメンバーとして「第7回多次元演奏会 ——音 × 踊 × 書——」を京都・本昌寺にて主催。そのほかフルート1本での表現の限界に挑むソロコンサート「独演会」を企画するなど、既存の枠組みに囚われない試みを精力的に行っている。NHK夜ドラ『作りたい女と食べたい女』の劇伴音楽にフルートで参加。